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馬の豆知識

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馬の種類(重種)

重種は身体が大きくスピードはないですが力持ちで気性も大人しく、主に重い馬車やソリを引いたり畑を耕したりと力仕事に使われます。

体重は800kgから1tを超えるものもあり、北海道で行われているばんえい競馬にもこの重種が使われています。

ここでは重種の代表的な品種をご紹介します。

ペルシュロン(Percheron)

ペルシュロン01

ペルシュロンはフランス北西部のノルマンディー、ペルシュ地方が原産の品種で名前の由来は原産地であるペルシュから付けられました。

ペルシュロンの起源は8世紀、フランス原産の重種にアラブ種など東洋原産の馬が交配され成立したと言われています。

ペルシュロンの体高は約160cm~170cmですが、最も高い記録が残っているのがドクトゥール・ル・ジェア(Dr Le Gear)という馬で体高211cm、体重が何と1372kgだったそうです。

ペルシュロンの毛色は芦毛や青毛などが多く、体型は脚が短く胴が太いです。

性格は大人しく、優しくて力持ちといった感じです。

ペルシュロン02

ペルシュロンはその大きな体格を生かし、昔は軍馬や馬車用、農用、重砲兵用などに使われてきました。

非公式ですが、3410ポンド(1547kg)を牽引したという例もあり従順であることからもどんな仕事もこなしてきました。

現在では、北海道で行われているばんえい競馬でペルシュロンの血が入っている馬が活躍しており、1トン近いソリを引きながら坂を駆け上がる姿は迫力満点です!

北海道へ行かれた時には是非ばんえい競馬へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

ブルトン(Breton)

ブルトン01

ブルトンはフランスの北西のブルターニュ地方が原産で、ブルターニュ地方の在来馬にペルシュロン、ブーロンネ、アルデンネなどの品種を交配し誕生した品種です。

体高は約150cm~160cmで毛色は栗毛や糟毛(かすげ)が多く見られ鹿毛や芦毛も見られますが、青毛はこの品種では見られません。

ブルトンは強力な筋肉を持ち、短い頸と太くてたくましい胴が特徴です

ブルトンには以前は4つのタイプの馬がいましたが、現在は2つのタイプの馬が公式に認められており、ポスティエ・ブルトン(Postier Breton)とトレ・ブルトン(Trait Breton)に分類されています。

ポスティエ・ブルトンはノーフォークトロッターやハクニーとの交配の結果に誕生しました。

このタイプの品種は中央ブルターニュ地方で主に育成され、その優雅な歩き方は馬車馬としてや農耕馬として優秀です。

また、トレ・ブルトンの方はアルデンネの血が入っており、ポスティエ・ブルトンよりもやや大柄で主に食肉用として生産されています。

ブルトン02

ブルトンは日本へは明治以降に多く輸入され、産業馬の品種改良に使われました。

ペルシュロンとともに北海道でのばんえい競馬に用いられている馬にはこの品種の血が多く含まれています。

ポスティエ・ブルトンは品種改良のために日本の他にも北アフリカ、スペイン、イタリアなどにも輸出されています。

活発でスピードがあり農作業をこなせることからもフランスではブドウ園などでの作業でも活躍しています。

シャイアー(Shire)

シャイアー01

シャイアーはイギリスの中部が原産の品種でオールド・イングリッシュ・ブラックホースという中世ヨーロッパで育成されていた品種から発展しました。

体高の平均は約160cm~170cmほどですが180cmを超えることもあり、体重は1トンを超えることも珍しくありません。

毛色は鹿毛や青鹿毛が多いですが、青毛や芦毛も見られます。

長い頸と雄大な肩、たくましい腰を持ち四肢は長めで、脚元が白くなっている馬が多いのもこの品種の特徴のひとつです。

シャイアーは重種の中でも特に大きい品種で、この品種のサンプソン号(1846年生まれ)という馬は体高約216cm、体重1524kgを記録し、記録が残っている馬の中では史上最も大きな馬とされています。

サンプソンはその大きさから後にマンモスという名前に改名されたほどです。

シャイアー02

シャイアーはアメリカでも人気を博し、1900年代前半にはおよそ4000頭がアメリカへ輸出され荷物などを牽引する役割を果たしました。

しかし、第二次世界大戦が始まり機械化が進むにつれシャイアーの需要は少なくなり一時は絶滅の危機に瀕しましたが、現在は保護活動が進められていることもあり再び頭数は増加傾向にあります。

シャイアーは大人しい性格と10馬力をはるかに超える力の強さを生かして現在は馬車馬としてやサーカスなどで活躍しています。

イギリスではビール樽を積んだ馬車を引く馬として知られており、イギリスのビール会社はシャイアー種の保護に協力しています。

クライズデール(Clydesdale)

クライズデール01

クライズデールはイギリスのスコットランド地方が原産の品種で1800年代にスコットランドの在来馬の牝馬にフランダースの牡馬を交配することによって成立しました。

また、シャイアーの血の影響も受けています。

クライズデールの体高は約163cm~183cm、体重は約820kg~910kgが平均的ですが、1920年代や1930年代にはペルシュロンやシャイアーなどと比べると小さい品種でした。

しかし、1940年代に入るとパレードやショーなどで印象的に見せるために体高の大きい馬を種牡馬の選定基準としたために現在では大きい身体を持つようになりました。

毛色は鹿毛が多いですが、青毛や栗毛または芦毛も見られます。

また、顔や脚元に白い模様が見られる馬がほとんどです。

頭の幅が広く鼻孔も大きく、長い頸とたくましい背中、豊かな距毛が特徴です。

気性は他の重種と同じで、大人しく従順です。

クライズデール02

クライズデールは馬車馬としてやビールなどの荷物の運搬用として活躍しており、19世紀後半から20世紀前半にはオーストラリアやニュージーランドを中心に何千頭もの馬が各国へ輸出され人気を博しました。

また、クライズデールはアメリカのビール会社であるバドワイザーのマスコットキャラクターにも選ばれており、バドワイザークライズデールと呼ばれておりCMにも出演し、たくさんの人に親しまれています。

ベルジャン(Belgian)

ベルジャン01

ベルジャンはベルギーのブラバンド地方が原産の品種で、古くから原産地であるベルギーで飼育されており他の品種の影響はほとんど受けていません。

体高は約160cm~170cm、平均的な体重はおよそ900kg前後で、他の品種との混血が少ないためにそれぞれの馬の体格の差はそれほど大きくありません。

ただ、改良などのために混血が進んだ馬に関しては体高が他と比べて大きくなる場合もあります。

ベルジャンの頭部は短く、太い頸を持ち、背中は短めです。また、前後躯はガッチリとした作りになっています。

毛色は栗毛や糟毛が多く見られます。

ベルジャン02

ベルジャンはブラバントと呼ばれることもあります。

ベルジャンはシャイアーやクライズデールなどの品種改良に大きく影響を与えました。

現在は原産地のベルギーだけでなく、アメリカでも人気になり農耕馬などの作業に使われる他にもショーなどにベルジャンは使われています。