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乗馬の上達方法

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速歩での乗馬上達方法1

軽速歩をマスターしよう

常歩の次は速歩です。

初心者の方がまず最初に壁に当たるのが軽速歩ではないでしょうか。

軽速歩とは速歩の時に馬の上で立ったり座ったりを「1、2、1、2」のリズムで繰り返すアレですね。

ところでみなさんは乗馬を始めた頃は「何故わざわざ立ったり座ったりしてるんだろう?」と思いませんでしたか?

私は思ってました(笑)

速歩の動きは上下の揺れが大きいので、座ったままだと反動(反撞)で跳ね上げられるので、軽速歩で立ったり座ったりを繰り返して反動を抜いた方が乗りやすいんですね。

ちなみに座ったまま乗ることを正反動と言います。

軽速歩はたいていの人はすぐにできるようになりますが、座る位置や重心のバランス、脚の位置などが毎回ズレていたりすることが多いので、上手な軽速歩をマスターするにはなかなか大変です。

しかし、上手な軽速歩ができると馬の背中の筋肉をほぐし、準備運動として非常に効果的で人馬ともに快適な運動ができるようになるのでシッカリと練習しましょうね。

なお本文では「座る」という言葉を使ってはいますが、お尻を鞍にベタッとつけるのではなくなるべくお尻が鞍に接する面積を小さくするように心掛けてください。

鞍につけるのはお尻ではなく坐骨ということを意識しましょう!そうすればキレイな姿勢の速歩ができるはずです。

ちなみに「はやあし」の漢字表記は「速足」ではなく「速歩」で、「けいはやあし」は「軽速足」ではなく「軽速歩」です。

「速足」、「軽速足」と間違われる方が結構多いので気をつけて下さいね。

速歩は英語ではトロット(trot)と言います。

軽速歩

速歩の歩様

軽速歩の前に馬の速歩の歩様についておさらいしておきましょう。

速歩は対角線上の肢が交互に二拍子のリズムで動く運動です。

右前肢と左後肢がペアに、左前肢と右後肢がペアになってほぼ同時に交互に動きます。

速歩の歩様(斜対歩)

この動きを速歩の斜対歩といいます。対角線上の動きであるために前後左右の重心の動きがなく、常歩や駈歩と違い速歩では馬の頭の位置はほとんど動きません。

また、四肢が全て地面から離れ宙に浮いている瞬間(空間期)があります。

速歩の分速は約220mほど、時速にすると約13.2kmほどです。

ちなみに右前肢と右後肢がペアに、左前肢と左後肢がペアになって動く側対歩という歩法もあり日本の在来馬などではこの側対歩をする馬もいますが、馬にとっての自然な速歩は斜対歩で、一般的に速歩といえば斜対歩の事を言います。

軽速歩の手前を合わせる

常歩の時は手前のことは気にせずに騎乗して大丈夫でしたが、軽速歩になると回る方向によって手前を合わせなければいけません。

軽速歩の手前を合わせる時は、左回りの運動の時には外側である右前肢が前に出た時に立ち、内側である左前肢が前に出た時に座ります。

そして、右回りの時は左前肢が前に出た時に立ち、右前肢が前に出た時に座ります。

次のイラストは左回りと右回りそれぞれの軽速歩の動きです。

軽速歩(左回り)
右前肢が前に出た時に立つ
左前肢が前に出た時に座る
軽速歩(左回り)
軽速歩(右回り)
左前肢が前に出た時に立つ
右前肢が前に出た時に座る
軽速歩(右回り)

手前を合わせる時は肩の出方をチラッと見て前肢の動きと自分の立つタイミングが合っているかどうかを確認しましょう。

さて、何故軽速歩の時に手前を合わせなければいけないかご存じでしょうか?

手前を合わせるというのは実は後肢の動きに合わせるのが目的なんですね。

隅角を回る時には内側の後肢(左回りだと左後肢)で人間の体重を支える方が曲がる時に負担が少なくなります。

皆さんも一回のレッスンで左回りをやったり右回りをやったりしていると思いますが、その目的は同じ回りの運動ばかりしていると一方の肢だけに負担がかかってしまうからなんですね。

なので時々手前を変えて、一方の肢だけが疲れるのを防いであげましょう。

もし手前が合っていなかったら軽速歩の時にお尻をポンポンと二回つけば自然と手前を合わせることができます。

軽速歩の立つ回数や座る回数を変えてみる

軽速歩の時は立ったり座ったりを交互に一度ずつ繰り返しますが、この回数を色々と変えて練習してみるとバランス練習として効果的です。

例えば「立つ、立つ、座る」、もしくは「立つ、座る、座る」や「立つ、立つ、立つ、座る」などのように二回立つ→一回座る、一回立つ→二回座る、三回立つ→一回座るなどそれぞれの回数を変えて練習することによって軽速歩でのバランス感覚を鍛えることができます。

二回立つ→一回座る
立つ
立つ
座る
立つ回数や座る回数を変える

一回目と二回目に立った時の姿勢やバランスが同じ位置で保てるようにします。

慣れていないと一回目はバランス良く立つことができても、二回目や三回目はバランスを崩してしまうことが多いです。

次のイラストのような感じですね。

立つ
立つ
(バランスを崩している)
座る
同じバランスで建てるようになるまで練習

常に同じバランスで立てるようになるまで練習しましょう。

この時に注意しなければいけないのが脚の位置です。

脚が前に突っ張ってくると上半身が後ろに倒れてきてバランスを崩してしまうので、脚が前に流れてこないように気をつけましょう。

脚は腹帯直後の位置に常に置いておき、立ったり座ったりの時もなるべく脚の位置は上下左右に動かさないようにします。

立ち上がる時に脚の力で立ち上がろうとするのではなく、腰を張っておへそを前に出し馬の反動を利用して自然に立ちます。

鐙は真っすぐ下へ踏み下げるようにすることを意識すればキレイな姿勢になります。

この時に膝の力は抜いて柔らかくし、なるべく脚に力が入らないように気をつけましょう。

この練習を繰り返しているうちに滑らかでバランスの取れた軽速歩ができるようになります。

手綱を離しての軽速歩

初心者の人によくありがちなのが、軽速歩で立つ時に拳も一緒に上に上がってくることです。

拳も一緒に上がってくると立ったり座ったりする度にハミが動き、口角を刺激して馬に苦痛を与えてしまいます。

なので立つ時でも拳は下に置いておき、常に同じ位置で拳を保ち続けるように意識しましょう。

馬場馬術の世界大会などの演技では常に拳や脚の位置はほとんど動かずに固定されています。

なのに馬に扶助を送り演技しているのですから、扶助というのは見ている人には分からないように送るのが理想です。

スピードをコントロールする時は拳全体を動かすのではなく、指の握りの強さを調節して行うことを心掛ければ馬にとって快適な運動ができます。

拳が一緒に上がってくるということはまだ拳に頼ってバランスを取っているということにもなるので、それを直す練習として効果的なのが手綱を離しての軽速歩です。

手綱を離した軽速歩

手綱を離して乗るのは少し怖いかもしれませんが、拳でバランスを取る癖を直すには効果的です。

ただ、急に馬が物見をした場合などに危険も伴うので安全な馬で行うようにしましょう。

いきなり両手を離すのは怖いという人は最初は片手に手綱をまとめて持って片手だけ離して練習するといいでしょう。

それからもう一つ、初心者の人でありがちなのがこのイラストのように手綱を短く持ちすぎて肘が伸びきってしまうことです。

膝が伸びた軽速歩

肘が伸びきってしまうと腕全体が硬くなってしまい、馬の動きについていけなくなります。

すると、ちょっと馬が首を下げただけで腕から身体の上体ごと前につんのめってしまうので、肘は適度に曲げて柔らかく使えるようにしましょう。

身体と腕がセットになって動くようでは馬の動きについていけないので、身体と腕は独立して別々に使えるようになりましょう。

次のページでも速歩での乗馬上達方法2について解説しています。是非見てね♪