ユルリ島に生きる野生馬3

【馬の豆知識】

・ユルリ島に生きる野生馬3

ユルリ島に残っている野生馬は2015年現在でわずか5頭。

その5頭は全て牝馬のため、これ以上は頭数が増えることはなく、ユルリ島から馬がいなくなるのも時間の問題です。

 

馬は自然の中でありのままに生きるのが幸せなのか、人間が管理して生きるのが幸せなのか。

人によってそれぞれ意見が分かれるかもしれません。

しかし、ユルリ島に生きる馬たちにとっては自然の中で生きる方が幸せなのではないでしょうか。

たとえこれ以上、命を繋ぐことができなくてもこの島で生まれこの島で命を全うする。

それがユルリ島の馬たちのあるべき姿でしょう。

 

そして、そんなユルリ島に生きる野生馬の記録を写真として残す一人の写真家がいます。

写真家 岡田敦さん。

岡田さんは北海道で生まれ東京で写真家として活動しています。

ユルリ島の野生馬の写真を撮ることになったキッカケを岡田さんはこう語ります。

「2006年に様々な事情で島には雌馬しかいなくなり、1950年代から約60年以上も続いてきたその命の繋がりが途絶えてしまうと知った時、北海道の大切な文化や歴史として、馬たちが生きてきた証をきちんと写真で記録しなければいけないと感じました。」

ユルリ島の野生馬

 

しかし、ユルリ島は北海道の天然記念物に指定されているため、メディアをはじめ人の立ち入りは禁止されています。

写真撮影の許可を得るには大変な苦労があったのではないでしょうか。

「2010年頃、初めて根室市に問合せをしたのですが、誰もユルリ島の馬の記録をしていないと伺ったので、是非僕にやらせて欲しいとお願いしました。とは言っても、ユルリ島は立ち入りが禁止されていますから、根室市と約2年間交渉を続け、2011年からようやく許可を頂くことができました。ユルリ島で自由に生きている馬の撮影を続けていると、動物にとっての幸せとはなにか、ということをよく考えます。」

岡田さんの情熱によって特別にユルリ島上陸の許可がおりたのです。

今では根室市をはじめ、落石漁業協同組合、島のガイドをしてくださる方など、根室のたくさんの方たちが岡田さんに協力してくれるそうです。

ユルリ島の野生馬2

【岡田さんの撮影する写真からは馬の息づかいまでもが聞こえてくるような臨場感がある】

 

いずれはいなくなってしまう運命にあるユルリ島の野生馬。

しかし、写真として残すことで後世までその生きた証を残すことができます。

ユルリ島での撮影を続けてきての今の心境を岡田さんはこう語ります。

「発表する作品だけではなく、僕が活動を続けることによって周りの人たちの意識や考え方も変わってゆく、そうした変化も芸術のひとつだと僕は思っています。そういう意味でもユルリ島での撮影活動は面白いですし、発言や行動を続けてゆくことの大切さを感じます。街の人たちの島に対する思いが変わってきているのも感じますし、たくさんの方が協力してくださっているので、必ず写真集として形にしなければいけないなと思っています。」

 

ユルリ島の自然の中でたくましく生きる野生馬。

岡田さんの写真によって一人でも多くの方に野生馬の存在を知ってもらいたいと強く願います。

 

次回のブログではユルリ島の野生馬がモデルとなった小説をご紹介します。

→次ページ 小説「颶風の王」へ

 

OKADA Atsushi Official Site
写真家 岡田敦 ユルリ島ウェブサイト https://okadaatsushi.com/yururi_island.html

 

写真家 岡田敦 公式YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/playlist?list=PL_BpdvkbNXgUWznHHKIByojXr2oII60cF

 

写真家 岡田敦 公式Facebook
https://www.facebook.com/okadaatsushi.official

 

岡田 敦 / 写真家 / 芸術学博士

1979年、北海道生まれ。東京在住。2008年、“写真界の芥川賞”といわれる木村伊兵衛写真賞を受賞。その他、北海道文化奨励賞、富士フォトサロン新人賞などを受賞。

主な写真集に、『1999』『MOTHER』『世界』『ataraxia』『I am』『Cord』『Platibe』などがある。

また、映画「ノルウェイの森」(原作:村上春樹)の公式ガイドブックを手掛けるなど、海外からの注目も高い、新進気鋭の写真家である。

その他、北海道根室市からの委託により、ユルリ島に生息する野生馬の撮影を続けている。

 

 

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