輸送熱を予防するための輸送管理

【馬の豆知識】

・輸送熱を予防するための輸送管理

前回までは輸送熱を発症する要因についてご紹介してきましたが、今回は輸送熱を予防するための輸送管理についてご紹介します。

 

まずは馬体の要因による発症の予防方法です。

輸送熱を予防するためには、これまでにご紹介した発症要因(ストレス・疲労・気候の変化など)をなるべく少なくする必要があります。

 

ストレスや疲労は輸送中に心拍数や呼吸数が上がっていることから、緊張が続くことにより蓄積されていきます。

しかし、輸送の休憩時に馬運車が停車している時は心拍数と呼吸数は低下しています。

なので、この休憩時間の時は馬にとっては緊張状態から解放されていることが分かります。

輸送の途中で休憩を取り入れることは輸送熱の予防に効果的です。

 

馬を馬運車に積む方法によっても疲労やストレスに違いがでてきます。

馬運車内で馬が好む向きというのがあり、どうやら馬は後ろ向きに乗ることを好むようです。

これは、馬運車の方向転換の時に大きく揺れる車両後部に脚を開きやすい前脚を位置させることでバランスを取りやすくしていると推測されます。

このことから後ろ向きに馬運車に乗ることが最適だと考えられます。

しかし、現在の馬運車の多くは前向きに乗るようにつくられていることもあるので、途中で長時間の休憩を取り入れることによって疲労やストレスを減らしてあげることが重要だと言えるでしょう。

 

また、馬にとっては馬運車のような狭い場所は精神的に不安定になり緊張感が続くので疲労やストレスが溜まってしまいます。

なので、輸送前に馬運車に慣らすことで馬運車が安全な場所であるということをあらかじめ教えておくことにより、なるべく馬に緊張感を与えないことが重要となります。

 

また、輸送前に体調に異常がなかった馬でも長時間の輸送によって体調が悪くなる場合があることから、輸送前に体調が明らかに悪い馬の場合は輸送を延期し、体調が整ってから数日は様子を見てから輸送するのが良いでしょう。

 

次回のブログでは輸送条件の要因についての予防方法をご紹介します。

輸送の休憩

 

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馬の輸送熱その3 ~輸送による細菌の感染~

【馬の豆知識】

・馬の輸送熱その3 ~輸送による細菌の感染~

前回のブログでは輸送熱を引き起こす細菌の感染についてご紹介しましたが、今回もその続きです。

 

前回は馬体が要因となる細菌の感染についてご紹介しましたが、今回は輸送条件による感染の要因についてです。

輸送条件が要因として感染するのは、大きく分けて「輸送時間」、「車内環境」、「気候」の三つがあげられます。

 

まずは馬運車の輸送時間についてです。

輸送時間が20時間を越えると急激に輸送熱の発症率が上昇するというデータがあります。

このことから輸送時間が20時間を越えるかどうかというのが輸送熱発症の大まかな目安となると言えるでしょう。

 

次に車内環境です。

輸送中の車内環境も細菌の感染に大きな影響があります。

輸送中の車内のアンモニア濃度、埃(ほこり)や塵(ちり)、浮遊細菌量は輸送時間が長くなるにつれ上昇していきます。

車内環境は輸送中に徐々に悪化していくので、この悪化した空気を吸うことによって気道をキレイにする機能が低下し感染につながります。

 

次に気候についてです。

春から秋にかけての時期に輸送熱を発症した馬が増加する傾向にあり、暑さの厳しい8月や9月に非常に多くなることが分かっています。

これは車内の温度や湿度が上昇することで呼吸器疾患を誘発しやすいことが分かっており、夏場の高温多湿による影響が大きいと考えられます。

また、春や秋にも輸送熱を発症する馬がやや増加することが分かっていますが、これは日本全国の色々な場所によって気候の違いが大きいために輸送中に大きく変わる気温や湿度の変化が要因となっていると推測されます。

このような温度や湿度などの変化によって気道の乾燥が促進されることが輸送熱発症の原因と考えられます。

 

次回のブログでは輸送熱を予防する輸送管理についてご紹介します。

馬の輸送熱

 

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馬の輸送熱その2 ~細菌の感染と発症~

【馬の豆知識】

・馬の輸送熱その2 ~細菌の感染と発症~

前回のブログでは馬の輸送熱についてご紹介しました。

今回もその続きで輸送熱につながる細菌の感染と発症についてご紹介します。

 

細菌の感染には色々な要素が考えられますが、最も大きな原因が馬体の要因と輸送条件の要因の二つです。

 

まずは馬体の要因です。

馬体が要因として細菌に感染するのは大きく分けて三つあります。

「ストレス」、「疲労」、「体調」の三つです。

これらの要素によって馬体の細菌への免疫力が落ちて、感染への抵抗力が下がります。

 

馬は馬運車の中ではストレスが溜まります。

特に馬運車内で落ち着きがない馬はストレスや疲労が溜まりやすいとされています。

ただ、馬運車の中で落ち着いているからといってストレスや疲労が全く溜まらないというわけでもありません。

どんな性格の馬でも馬運車の中ではストレスが溜まり、輸送中は心拍数や呼吸数が上昇するというデータがあるので馬が緊張しているということが確認できます。

このように緊張状態が長い時間続くことで馬にストレスや疲労が蓄積します。

 

また、輸送前に体調が悪いほど発熱するリスクが高いことが分かっています。

これは一見すると症状がなく健康に見える馬たちでも、内視鏡検査で気道の状態が良くない馬の場合も含まれています。

症状が出ていない馬でも輸送によって発熱してしまうことを考えると、目に見えて体調が悪い馬の輸送のリスクは明らかです。

 

輸送熱を防ぐためにも輸送前の体調管理や体調チェックは非常に重要だと言えるでしょう。

 

次回のブログでは細菌の感染のもう一つの要因となる輸送条件についてご紹介します。

輸送する馬

 

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馬の輸送熱

【馬の豆知識】

・馬の輸送熱

乗用馬の場合だと競技会などで、競走馬の場合だとレースなどで馬は色々な場所に移動します。

 

馬を輸送する歴史を見ていくと、馬の輸送が始まった当初は貨物による輸送が中心でした。

その後に機能性や利便性から自動車輸送に注目が集まり、馬運車が登場するようになりました。

今現在では馬の輸送は馬運車によるものが中心となり、日本から海外への輸送や海外から日本への輸送の場合には航空機も使用されるようになっています。

馬運車

 

馬を輸送する場合には色々な問題が出てきますが、一番気をつけなければいけないのが輸送による疾病です。

その輸送による疾病の代表的なものが輸送熱と輸送中のケガでしょう。

 

まずは輸送熱について見てみましょう。

輸送熱とは一体どういったものなのでしょうか?

輸送熱は輸送中や輸送後に発生する発熱を伴う様々な疾患の総称のことを言います。

輸送熱の症状の多くは呼吸器に関連し、食欲不振や元気がなくなる、または鼻水が出たり咳(せき)が出たりします。

軽度の場合だとそれほど問題はありませんが、重度の場合になると長期間の休養を余儀なくされたり、酷い場合には予後不良になってしまうこともあります。

 

ではなぜ輸送によって熱が上がるのでしょうか?

輸送熱の原因は呼吸器にあります。

元々、馬の気道には常在菌という菌が存在しています。

しかし、気管支や肺には常在菌は存在していません。

輸送の影響によって、これらの存在しなかった菌が気管支や肺に感染することによって気管支炎や肺炎を引き起こし、その炎症によって熱が上がるのです。

輸送熱の原因は呼吸器にあるので、その他の症状の多くも呼吸器に関連したものが発生します。

輸送熱によって重度の肺炎を起こしてしまうと馬は痩せてしまい、体調は著しく悪化してしまいます。

こうなってしまうと体調を戻すのに長期の休養が必要な状態になります。

 

ではなぜ、輸送によって常在菌のような普段では感染しないような菌に感染してしまうのでしょうか?

 

次回は輸送熱の感染と発症についてご紹介します。

馬の輸送

 

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